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第2回吉村家住宅セミナーを開催しました [活動報告]

11月15日、第2回吉村家住宅セミナーを開催しました。 

今回の講師は、田中敏雄先生(大阪芸術大学名誉教授)。 

吉村邸に残る絵画資料について、詳しく解説していただきました。 

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まず、吉村家住宅の北にある「ふれあいの里島泉集会所」にて講義、

その後、現地へ移動して、田中先生から実物を前にした細かい解説をお聞きしました。

その様子をいくつかご紹介します。 

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奥座敷の壁貼付は、山水や建物が描かれていますが、全体として余白を多くとる構成です。

こうした特徴は、江戸時代でも中期より少し前までに見られるそうです。 

田中先生は「雲谷派」と呼ばれる流派との関係が濃厚であることを指摘されていました。

※雲谷派・・・安土桃山時代に雲谷等顔が始めた漢画系の一派で、雪舟正系を標榜。江戸時代を通じて長州藩(毛利家)に仕えた。(「広辞苑」より) 

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こちらは収集した扇面を屏風にした扇面貼交屏風について解説されているところです。

扇面のなかには、江戸後期の戯作者である山東京伝(1761~1816)や、

酒井抱一の弟子である山田抱玉(生没年不詳)の作品も。

扇面画に扇の骨の筋が残っているので、もともとは実用品だったようです。 

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普段は格納されていて見ることの出来ない掛け軸も数点見学できました。

特に、狩野探雪の筆による嵐山の桜の図は、「宝永六年(1709年)」の年号と、

秋元家拝領品である旨の箱書きを持つ貴重なものです。 

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皆さんの視線の先にあるのは、草花図衝立。 

やや退色、色落ちは見られますが、金地に極彩色の華やかさは琳派風。 

作者はわかりませんが、田中先生は俵屋宗達スタイルを踏襲していると仰っていました。

吉村家住宅には、他にもいろいろな絵画資料が残されています。

興味をお持ちになった方は、吉村家住宅の公開時にぜひお越し下さい。

次回セミナーは2016年(平成28)2月21日(日)、

堺市山口家住宅の保存活用に携わる、堺市文化財課の小林初恵氏をお招きします。

吉村家住宅の保存活用のあり方のヒントが見つかるかもしれません。

1月16、17日には吉村家住宅 冬の公開もおこないます。 

詳細は後日あらためてお知らせしますね!