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保存会だより第4号、届きましたか? [活動報告]

6月20日付けで、「吉村家住宅保存会だより」第4号を発行しました。

保存会の会員のみなさまのお手元には、数日前に届いていると思います。

もうお読みいただけましたでしょうか? 

さて、保存会だよりには「吉村家住宅と郷土の歴史」というコラムを第1号から毎号掲載しています。

吉村家の所在する島泉地域の歴史や江戸時代の領地支配のあり方など、関連する古文書なども交えながら紹介しています。

書いているのは保存会幹事の西田敬之さん。 

いつも原稿を書くため、関連の古文書探しに吉村家へ出向いて、写真撮影もおこなっています。

熱心に取り組んだコラム、ぜひ読んでいただき、吉村家をめぐる歴史に思いを馳せていただければ幸いです。

ちなみに、第4号は、江戸時代に秋元氏が支配していた丹北郡・丹南郡・八上郡内43か村に関する内容です。 

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これは関連の古文書「弘化2年6月巳年三郡家数改帳」を見つけたところ。

詳しくは、保存会だより第4号をご覧ください。

それから・・・コラムを読んでみたいという方、保存会入会もご検討くださいませ! 


第4回吉村家住宅セミナーを開催しました [活動報告]

6月12日(日)、武蔵大学総合研究所の中尾七重先生をお迎えして、

「重要文化財吉村家住宅の建築年代―放射性炭素(14C)年代調査報告」と題して、

科学的年代調査法の一つである放射性炭素年代法を用いた吉村家住宅の調査結果についてのお話をうかがいました。

セミナー前半は、ふれあいの里島泉集会所で放射性炭素年代法の測定方法や吉村家住宅での調査結果の話を聞き、

後半は吉村家住宅に移って実際に調査された柱を前に当寺の苦労話とともに建築部材などのご説明をいただきました。

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吉村家住宅は大坂夏の陣で焼失し、その後すぐ主屋居室部が再建されたと推定されていますが、

客室部の建築年代については諸説あり、はっきりしていません。

今回の放射性炭素年代法の調査結果により中尾先生は、

江戸時代初期にそれぞれ別棟で存在していた居室部と客室部が、時期は不明ですが後に接続された、

との見解を提示されました。

客室部の建築年代が江戸時代初期と考えられるということは、

数寄屋風書院造の民家への導入が江戸時代初期にはおこなわれていたことになり、

建築史のうえでも興味深い事例と言えるのではないでしょうか。

今回は、普段聞きなれない「放射性炭素年代法」をテーマにしたお話でしたが、

アンケートでは好意的な感想を多くいただきました。 

吉村家住宅が様々な角度から調査されていること、そしてその成果を皆さんに知っていただく機会を持てたことは、保存会としても良かったと思っています。

次回のセミナーは、ちょっと先になりますが、12月4日(日)に予定しています。

詳細が決まればお知らせいたします。お楽しみに! 


春の公開をおこないました(その2) [活動報告]

春公開2日目の4月3日(日)は、ふじいでら素人噺の会「我楽多亭」の出前寄席を開催しました。

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落語家 笑福亭松五さんを師匠に修業を積んだ藤井寺落語教室の修了生が昨年旗揚げし、

すでに各所のイベントなどに引っ張りだこの「我楽多亭」。

その中から、4人が登場。

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酒の粕(うっかり亭・坊さん)

厩火事(嵐亭好代さん)

たけのこ(みささぎ亭無茶さん)

住吉籠(極楽亭五目)

を、各々演じました。

「初めての古民家での寄席で良い体験ができました」とみなさん。

お客さんも吉村家住宅に初めて来られた方がほとんどで、

寄席のあと、熱心に家屋を見学されていました。

出番を終えて・・・4人揃って、桜の下で記念撮影。

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我楽多亭のみなさん、ご参加いただいたみなさん、ありがとうございました! 


春の公開をおこないました(その1) [活動報告]

4月2日(土)、3日(日)の2日間、恒例の春の公開をおこないました。

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敷地内の桜もちょうど満開の見頃を迎えていて、

見学者の方には、古民家と桜の美しい風景を楽しんでいただけたかと思います。 

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各日とも公開にあわせてイベントを開催しましたので、その様子を2回に分けて報告したいと思います。

まず1日目は、和菓子工房あん庵の店主 松田明さんによる講演「あん庵のお菓子な話」 。

和菓子屋さんへお菓子を買いに行くことはあっても、職人さんのお話を伺う機会など、滅多にないですよね。 

松田さん自身が和菓子の世界に入って知ったこともいろいろご披露いただきました。

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たとえば、お供えなどに用いるお饅頭(いわゆる葬式饅頭)は、

関西では黄と白の組合せですが、関東では緑と白の組合せだそうです。

端午の節句に欠かせない柏餅については、

当然、全国どこでもカシワの葉っぱを使うと思っていたのが、

広島訪問時に地元では「サルトリイバラ」という種類の葉っぱを使っていると知り、松田さんも驚かれたそうです。

同じ和菓子でも地域色があるのですね。 

他にも、和菓子作りにまつわる専門用語や特徴的な技法などについて、

練りきりの実演を交えながら、楽しくお話ししてくださいました。 

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実演いただいたお菓子。飾っておきたいくらい美しいです。 

お話の後は、参加者のみなさんに、あん庵特製桜餅とお茶を召し上がっていただきましたよ(写真撮り忘れましたが・・・)。

20160402_134708.jpg さらに、お土産まで!

最後は、桜の下で、松田さんと当主の記念撮影。

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松田さん、ご参加いただいたみなさん、ありがとうございました。 

(その2へつづく・・・) 


清掃作業 [活動報告]

来月2日、3日の春公開に向けて、敷地内の草取り作業をおこないました。

作業前の様子。

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草原のようですね・・・ 

砂利の間から草がけっこう伸びていました。

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良いお天気で気持ちは爽やかなのですが、ずっとしゃがんでいると、さすがに膝や腰が痛くなってきます。

ついには地べたに座り込んでしまう人も。 

それでも3時間ほど作業し続けて、こんなに綺麗になりましたよ! 

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DSCN0091.JPG 落ち葉が溜まっていた溝の中もすっきり。

春の公開に来られた方に、綺麗な状態でご覧いただけそうです。

さて、敷地内の桜ですが、いくつかポツポツと咲いている花を見つけました。

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ちょうど公開日あたりに見頃を迎えるのではないでしょうか。

古民家の見学とあわせて、桜もお楽しみください。 

是非遊びに来てくださいね。

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【吉村家住宅 春の公開】

日時:4月2日(土)、3日(日) 両日とも10:00~12:00、13:00~16:00

見学料:500円 ※吉村家住宅保存会会員は250円

見学のお申し込みは下記まで

メールの方→k.hosomi.11373@onyx.ocn.ne.jp

はがきの方→〒583-0876大阪府羽曳野市伊賀5-6-38

      羽曳野市立緑と市民の協働ふれあいプラザ内 吉村家住宅春の公開 係 

 

 


第3回吉村家住宅セミナーを開催しました [活動報告]

2月21日(日)、第3回吉村家住宅セミナーを開催しました。

今回は、堺市文化財課の小林初恵先生をお招きし、

「重要文化財山口家住宅の保存活用について」というテーマでお話しいただきました。 

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山口家住宅は、平成19年に堺市に譲渡され、現在は「堺市立町家歴史館」として公開されています。

個人が所有する吉村家住宅とはさまざまな面で状況は異なり、

保存、活用のあり方は同じように進められない部分もありますが、

地元ボランティアさんや伝統産業事業主さんとの協力などは、当保存会としてもぜひ参考にしたい点です。 

また、建物の保存活用は所有者だけ、行政だけでは成立しない、近隣や周囲の方々の協力があってこそ成り立つものである、

という小林先生の言葉には、まったくその通りだと思いました。

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集会所での講義の後は、いつものように吉村家住宅へ移動して質疑応答の時間を設けました。

ここでも古民家の保護、活用についていくつか意見が交わされましたが、

「どのように次の世代へ繋げていくのか」が常に考慮されるべきで、

そのためにも、いろいろな人びとが関われる仕組み作り、新しい仲間作りが大切なのではないか、

という小林先生のお話に、大きく頷きました。 

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セミナー終了後のスナップ。 

(小林先生を囲んで当主と保存会顧問のお二人) 


セミナー打ち合わせで堺へ [活動報告]

2月1日、2月21日(土)のセミナーの打合せのため、堺市文化財課の小林初惠先生を訪ねて堺市立町家歴史館山口家住宅へ伺いました。

堺市 山口家住宅DSC_0301.JPG 山口家住宅 

はじめに小林先生に山口家住宅をご案内いただいた後、今回のセミナーについてどのように進めるかの意見交換をしました。

特に山口家住宅が町家歴史館という公共の施設として誕生した経緯やそのコンセプト、また様々な催しをする中で地域の各団体との協力関係など、保存会の活動を考えていく上で貴重なお話を伺うことができました。

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21日のセミナー当日にはそれらについて具体的なお話をしていただきます。

さらにセミナー後半は吉村家住宅に移り、現場を見ながら古民家の活用について考えたいと思います。

皆さまのご参加お待ちしております。


冬の公開をおこないました。 [活動報告]

寒さに身の縮むような今日この頃ですが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。

1月16、17日の2日間、吉村家住宅では冬の公開をおこないました。 

菅原哲夫さんによる朗読会と、吉永喜一さんによる古民家模型作品展も同時開催。

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菅原さんによる「岩手方言による宮沢賢治作品朗読」には40名の方々が参加。

岩手県の自然や文化の話を交えて、牧歌「種山が原」「座敷童子の話」など朗読を披露。

最後の「永訣の朝」「雨ニモマケズ」は圧巻!心にずっしり、方言のすごさを実感しました。

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吉永さんの「吉村家住宅1/60ミニチュア」は、主屋だけでなく、長屋門に三方の土塀、前庭も石畳まで再現。 

そんな素晴らしいミニチュアを、このたび当保存会に寄贈されました。 

贈呈式では、庭に松のミニチュアを植樹・・・。作者の茶目っ気全開!

このミニチュアは資料室(納屋)に展示中、ケースを作らなきゃと思案しています。 

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見学者のみなさんにはぜんざいを振る舞いました。 あたたまっていただけたでしょうか?

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縁側に展示された吉永さんの作品を囲んで、ニッコリ笑顔の菅原さんと吉永さん。

素敵な時間をありがとうございました。 


第2回吉村家住宅セミナーを開催しました [活動報告]

11月15日、第2回吉村家住宅セミナーを開催しました。 

今回の講師は、田中敏雄先生(大阪芸術大学名誉教授)。 

吉村邸に残る絵画資料について、詳しく解説していただきました。 

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まず、吉村家住宅の北にある「ふれあいの里島泉集会所」にて講義、

その後、現地へ移動して、田中先生から実物を前にした細かい解説をお聞きしました。

その様子をいくつかご紹介します。 

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奥座敷の壁貼付は、山水や建物が描かれていますが、全体として余白を多くとる構成です。

こうした特徴は、江戸時代でも中期より少し前までに見られるそうです。 

田中先生は「雲谷派」と呼ばれる流派との関係が濃厚であることを指摘されていました。

※雲谷派・・・安土桃山時代に雲谷等顔が始めた漢画系の一派で、雪舟正系を標榜。江戸時代を通じて長州藩(毛利家)に仕えた。(「広辞苑」より) 

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こちらは収集した扇面を屏風にした扇面貼交屏風について解説されているところです。

扇面のなかには、江戸後期の戯作者である山東京伝(1761~1816)や、

酒井抱一の弟子である山田抱玉(生没年不詳)の作品も。

扇面画に扇の骨の筋が残っているので、もともとは実用品だったようです。 

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普段は格納されていて見ることの出来ない掛け軸も数点見学できました。

特に、狩野探雪の筆による嵐山の桜の図は、「宝永六年(1709年)」の年号と、

秋元家拝領品である旨の箱書きを持つ貴重なものです。 

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皆さんの視線の先にあるのは、草花図衝立。 

やや退色、色落ちは見られますが、金地に極彩色の華やかさは琳派風。 

作者はわかりませんが、田中先生は俵屋宗達スタイルを踏襲していると仰っていました。

吉村家住宅には、他にもいろいろな絵画資料が残されています。

興味をお持ちになった方は、吉村家住宅の公開時にぜひお越し下さい。

次回セミナーは2016年(平成28)2月21日(日)、

堺市山口家住宅の保存活用に携わる、堺市文化財課の小林初恵氏をお招きします。

吉村家住宅の保存活用のあり方のヒントが見つかるかもしれません。

1月16、17日には吉村家住宅 冬の公開もおこないます。 

詳細は後日あらためてお知らせしますね! 

 


秋の公開をおこないました [活動報告]

毎年恒例、吉村家住宅秋の公開を、10月11日(日)におこないました。

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三連休の真ん中という日程でしたが、たくさんの方にご訪問いただき、

保存会スタッフ一同、喜んでいます。

午後は、公開に合わせて升井勝之さんによるオルガンコンサートを開催しました。

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今回のコンサートは、升井さんが当会の幹事、里井百合子さんの大学の同期、

というご縁で実現したのですが、他にも何人か同級生の方が駆け付けて、プチ同窓会のようでしたよ。 

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前半はクラッシック、洋楽を中心に、休憩を挟んで後半は日本の曲を中心に。

プログラムにはよく知られた歌謡曲も含まれており、お客さまの中には口ずさみながら聞いておられる方もちらほら。 

最初は升井さんも少々緊張気味だったそうですが、気持ちよく演奏されているご様子でしたよ。

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司会の建石芳子さんも、オルガンに関する豆知識などもまじえながらの曲紹介で、コンサートに花を添えてくださいました。

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最後は升井さんの演奏で、参加者全員で「埴生の宿」を合唱しました。

吉村邸で、それぞれに生まれ育った我が家に想いを馳せる・・・そんな時間になったのではないでしょうか。 

コンサートの後は、余韻に浸りながら住宅内をご覧いただきました。

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来年1月には冬の公開をおこないます。

同時開催イベントなども追ってお知らせいたします。またお会いしましょう!