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第4回吉村家住宅セミナーを開催しました [活動報告]

6月12日(日)、武蔵大学総合研究所の中尾七重先生をお迎えして、

「重要文化財吉村家住宅の建築年代―放射性炭素(14C)年代調査報告」と題して、

科学的年代調査法の一つである放射性炭素年代法を用いた吉村家住宅の調査結果についてのお話をうかがいました。

セミナー前半は、ふれあいの里島泉集会所で放射性炭素年代法の測定方法や吉村家住宅での調査結果の話を聞き、

後半は吉村家住宅に移って実際に調査された柱を前に当寺の苦労話とともに建築部材などのご説明をいただきました。

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吉村家住宅は大坂夏の陣で焼失し、その後すぐ主屋居室部が再建されたと推定されていますが、

客室部の建築年代については諸説あり、はっきりしていません。

今回の放射性炭素年代法の調査結果により中尾先生は、

江戸時代初期にそれぞれ別棟で存在していた居室部と客室部が、時期は不明ですが後に接続された、

との見解を提示されました。

客室部の建築年代が江戸時代初期と考えられるということは、

数寄屋風書院造の民家への導入が江戸時代初期にはおこなわれていたことになり、

建築史のうえでも興味深い事例と言えるのではないでしょうか。

今回は、普段聞きなれない「放射性炭素年代法」をテーマにしたお話でしたが、

アンケートでは好意的な感想を多くいただきました。 

吉村家住宅が様々な角度から調査されていること、そしてその成果を皆さんに知っていただく機会を持てたことは、保存会としても良かったと思っています。

次回のセミナーは、ちょっと先になりますが、12月4日(日)に予定しています。

詳細が決まればお知らせいたします。お楽しみに!